リバーシは石の数で勝敗が決まるゲームですが、途中の石の数はほとんど勝敗と関係がありません。1手で一気に十数枚が裏返ることもあるので、序盤に多く取っていても終盤で丸ごと入れ替わります。数えるのは最後の1回だけです。では途中は何を見るのかというと、もう裏返らない石がどれだけあるかと相手に残る選択肢がどれだけ少ないかの2つです。この記事では、その2つをルールから導き、盤面図で追いながら整理します。後半は脳タイムのリバーシの対戦相手が実際に何を評価しているかにも触れます。
まずルールを3行で整理する
脳タイムのリバーシは8×8の盤面で、自分は黒石を打ちます。ルールは次の3つだけです。
- 縦・横・斜めのいずれかの向きで、相手の石を自分の石で挟める空きマスにだけ打てる
- 挟んだ相手の石は、その向きのぶんだけすべて裏返る
- 両者とも打てるマスが無くなった時点で、石の多い方の勝ち
打てるマスが無い手番はパスになり、相手が続けて打ちます。この記事では、盤面の位置を左からa〜hの筋、上から1〜8の段で表します。左上の角がa1、右下の角がh8です。図の外周に同じ目盛りを出してあるので、本文の座標をそのまま追えます。
勝ち方の軸は「もう裏返らない石」を増やすこと
裏返るには両側から挟まれる必要があります。ということは、挟まれる形が作れないマスの石は、以後どんな手を指されても色が変わりません。この視点でいちばん強いのが四隅です。
軸1: 四隅の石は絶対に裏返らない
a1を例に考えます。挟むには、a1の反対側にも石が要ります。横向きなら左どなり、縦向きなら上どなり、斜め向きなら左上どなりですが、そのどれも盤の外です。石を置ける場所が無いので、a1に石が入ったらそれで確定します。同じ理屈が四隅すべてに当てはまります。四隅は「取れたら強い」ではなく、ルール上、絶対に取り返せない4マスです。
そして、その四隅に最も近い形で影響するのが金色のマスの周りです。下の図で淡い赤にしたマスは、打つと相手に角を渡しやすい12マスです。
軸2: 角の斜めどなりに打つと、その場で角が相手に開く
角の斜めどなりが危ないのは、「なんとなく危険」ではなく打った瞬間に相手の角が成立してしまうからです。角に打つには相手の石を挟む必要があり、その挟む相手役をこちらが用意してしまうわけです。
下の図は、序盤の5手目に黒がb2へ打った直後の局面です。この1手前まで白はa1に打てませんでしたが、b2に黒石が入ったことでa1に打てばb2を挟める形ができ、白の選択肢に角が加わりました。他に打つ場所がある局面でわざわざ角を渡したことになります。
逆に言えば、相手が角の斜めどなりに打つのを待つのが角を取る近道です。自分から角へ突っ込むのではなく、相手が打てるマスを削っていって、危険なマスしか残っていない状態に追い込みます。
軸3: 角から続く辺の石も、そのまま確定する
角を取ると、その効果は角1枚では終わりません。角から途切れずに続く辺の石も、同じ理屈で裏返らなくなります。辺の石は、縦向き(または横向き)の片側が盤の外なのでその向きでは挟めず、斜め向きも片側が盤の外です。残るのは辺に沿った向きだけですが、角の側は自分の石が角まで続いているので、挟むための相手の石を置く隙間がありません。
下の図は、対局が17手進んで黒が左上の角を押さえた局面(次は白の手番)です。角のa1に加えて、上辺のb1・c1・d1、左辺のa2・a3・a4の合計7枚が、この先どう指されても黒のままです。石の数は黒16枚・白5枚ですが、大事なのは16枚という数ではなく、そのうち7枚が確定していることの方です。
この形を目標にすると、序盤・中盤の指し手の基準が決まります。角に近い辺を、角と一緒に取れる形で狙うということです。角を取らないまま辺だけ並べると、辺の端から挟まれて丸ごと裏返るので、順番が逆になると意味がありません。
軸4: 多く裏返す手は、たいてい損な手
裏返した石は次に相手が挟む相手役になります。10枚裏返せば、相手が挟める石が10枚増えるということです。さらに、自分の石が盤に広がるぶん、その周りの空きマスが相手の打てるマスに変わっていきます。序盤に大量に裏返す手は、相手の選択肢を増やして自分の選択肢を減らす手になりがちです。
つまり本当に数えるべきは自分が打てるマスの数と、相手が打てるマスの数の差です。これは対戦相手のAIの評価でいちばん大きな係数が付いている値でもあります。AIの評価は「石の数の差」を8倍、「打てるマスの数の差」を18倍して足しています。1マスあたりの重みで見れば、石を数えるより打てる場所を数えるほうが2倍以上重いということです(Lv10以上では3つめの「位置の点数」も効くので、四隅が絡む局面ではそちらが金額として大きくなることもあります)。
手番ごとに全マスを数え直すのは大変なので、実戦では開放度という近道が使われます。数えるのはその手で裏返した石に接している空きマスの数です。裏返した石が空きマスに触れているほど、相手がそこを挟む足場が増えるという関係を使った目安で、盤全体を数え直さずに手ごとに比べられます。厳密に数えなくても、裏返す枚数が少なく、盤の内側で完結する手を選ぶだけで方向は合います。序盤に中央付近でしのぐのが定番なのは、この理由からです。
極端な形として、相手の打てるマスをゼロにできればパスを強制でき、自分が続けて打てます。角を取る形は、こうしてじりじり選択肢を削った先に自然に現れます。
AIのレベルによって、通じる理屈が変わる
ここまでの4つは、リバーシというゲームのルールから出てくる話です。一方で、実際に対戦するときの相手は脳タイムのAIなので、相手が何を見ているかで有効な打ち方が変わります。脳タイムのリバーシのAIは30段階で、レベルによって次の3つが変わります。
- 読みの深さ: Lv1〜9は1手先だけ、Lv10〜12は3手先、Lv13〜18は4手先、Lv19〜21は5手先、Lv22〜27は7手先、Lv28〜30は8手先まで読みます
- 読まずに打つ確率: 読みを使わず、打てるマスから無作為に1つ選ぶ手が混ざります。Lv1で約50%、Lv15で約26%、Lv30でちょうど0%です
- 位置の重み: マスごとの価値を評価に入れる倍率が、Lv9以下では0、Lv10で0.35、そこからLv30の1.0まで上がっていきます
3つめの読み方に注意してください。Lv9以下のAIが見ていないのは「マスの位置」だけです。石の数の差と、打てるマスの数の差は、どのレベルでも同じ重みで数えています。つまりこの帯のAIも打てるマスを増やし、相手の選択肢を削る手はきちんと選んできます。軸4がそのまま通じる相手だということです。
通じにくくなるのは角と辺の駆け引きの側です。この帯のAIは角の価値も角のとなりの危険も評価に入れていないので、角のとなりを避ける手も、こちらの角を妨害する手も、意図して選ぶことはありません。ただし打てるマスの数の差は見ているので、角のとなりを進んで選ぶわけでもありません。角は自分で取りにいく必要があります(約36〜50%を占める無作為の手の分だけは、ときどき角を渡してきます)。逆に言えば、確定石を積む形を試すのに向いた帯です。
Lv10以上になると、位置の重みが評価に入り始めます。AIが使っているマスごとの点数は、四隅が+100、角の斜めどなりが-80、角の縦横どなりが-50、盤の中央が3です。上の「四隅がいちばん強く、角のとなりがいちばん損」という並びは、対戦相手の評価表そのものでもあるわけです。この帯からは、角のとなりに追い込む駆け引きが噛み合ってきます。
もうひとつ、Lv22以上には終盤の切り替えがあります。空きマスが12以下になると、AIは最後まで読み切ろうとします。この帯を相手にするなら、終盤のひねりで逆転する想定は捨てて、空きマスが13以上あるうちに確定石で差を作る必要があります。逆にLv21以下なら、終盤も読みの深さの範囲内でしか見ていないので、最後の数手に読み違いが残ります。
脳タイムのリバーシで実践する
脳タイムのリバーシはLv1からLv30まであり、Lv1〜5は会員登録なしでそのまま対戦できます。Lv6〜24はテオワンIDでログインすると開放され、Lv25〜30はためたポイントで開放する最上位帯です。広告は表示されません。
まずはLv1〜5で、角と、角から続く辺を押さえる形を実際に作ってみてください。この帯のAIは位置を見ていないので、角を狙う手が素直に通ります。形が作れるようになったらLv10以上へ上げると、同じ手が今度は妨害されるようになり、そこからが開放度の出番です。ほかのボードゲームも試したい方は広告なしの無料ボードゲーム4選もあわせてご覧ください。



