ナンプレの中級から上級にかけて、候補が2個だけ残ったマスが盤面のあちこちに散らばる局面がよくあります。この「候補2個のマス」を3つつなぐと候補を消せるのが、XYウィングという手筋です。Yウィングと呼ばれることもあります。1つの数字だけを追いかけるXウィングとは考え方がまったく違い、3つの数字が関わるところが特徴です。仮定を1回立てるだけで結論が出るので、理屈が分かればペンを使わずに追いかけられます。この記事では成立条件と消せるマスの見分け方を図解で解説していきます。
XYウィングとは
XYウィングは、候補がちょうど2個のマスを3つ使う手筋です。3つのマスにはそれぞれ役割があります。
- 軸(pivot):候補が2個のマス。仮定の起点になります。
- 翼(wing):候補が2個のマスを2つ。どちらも軸と同じ行・列・ブロックのいずれかを共有し、軸の候補を1つずつ分け合い、残りの1個は2つの翼で共通になっています。
候補の並びで書くと、軸が{x,y}、一方の翼が{x,z}、もう一方の翼が{y,z}という形です。共通して現れるzが、消す対象の数字になります。
なぜ消せるのかは、軸で場合分けすると1行で説明できます。軸はxかyのどちらかです。軸がxなら、xを共有する翼はxになれないのでzに決まります。軸がyなら、yを共有するもう一方の翼がzに決まります。つまりどちらに転んでも、2つの翼のうち少なくとも一方は必ずzになります。だとすれば、2つの翼を同時に見ているマス(両方と行・列・ブロックのいずれかを共有するマス)にzが入る余地はありません。そこからzを消せます。
図解でステップ解説
実際の盤面で追いかけてみましょう。軸と2つの翼、そして消せるマスを色分けしています。
使う3マスは軸がr9c8{2,3}、翼がr7c7{2,4}とr9c3{3,4}です。軸と翼のつながりを確認しておきましょう。r7c7は軸と同じ右下ブロック(7〜9行目・7〜9列目)にあり、r9c3は軸と同じ9行目にあります。どちらも軸と何かを共有しているので、条件を満たしています。
候補の並びを見ると、軸{2,3}に対して翼が{2,4}と{4,3}——つまりx=2, y=3, z=4の形です。ここから場合分けします。
- 軸r9c8が2だとすると、同じブロックにあるr7c7は2になれません。r7c7の候補は2と4だけなので、r7c7は4に決まります。
- 軸r9c8が3だとすると、同じ9行目にあるr9c3は3になれません。r9c3の候補は3と4だけなので、r9c3は4に決まります。
- 軸は2か3のどちらかなので、r7c7が4になるか、r9c3が4になるか、少なくとも一方は必ず成立します。
そこで、r7c7とr9c3の両方を同時に見ているマスを探します。r7c1とr7c2は、7行目でr7c7とつながり、同時に左下ブロック(7〜9行目・1〜3列目)でr9c3とつながっています。どちらの翼が4になったとしても、この2マスは4になれません。
したがってr7c1とr7c2から候補4を消せます。どちらも{2,4,7}だったので{2,7}に減ります。軸がどちらの数字になるかは最後まで分からないままなのに、結論だけが確定するところがこの手筋の気持ちよさです。
Xウィングとの違い
名前が似ているので混同しやすいのですが、見ているものがまったく違います。
- Xウィング:数字は1つだけ。その数字の候補が2つの行と2つの列で長方形に並ぶ形を探します。マスの候補が何個あっても構いません。
- XYウィング:数字は3つ。候補がちょうど2個のマスを3つ見つけ、候補の重なり方でつなぎます。長方形に並ぶ必要はありません。
探すときの入口も変わります。Xウィングは「数字を決めて盤面全体を見る」、XYウィングは「候補2個のマスを拾ってから組み合わせを探す」という順番です。詳しい探し方はXウィングの記事と読み比べると違いがはっきりします。
XYウィングを探す手順
- 候補が2個だけのマスに印をつけて洗い出す
- その中から1つを軸の候補として選ぶ
- 軸と行・列・ブロックのいずれかを共有し、軸の候補のうち片方を含む候補2個のマスを探す(1つ目の翼)
- 軸のもう片方の候補を含み、1つ目の翼と共通の数字zを持つ候補2個のマスを探す(2つ目の翼)
- 2つの翼を同時に見ているマスを探し、そこから候補zを消す
- 消せるマスが1つもなければその組み合わせは空振り。別の軸で試す
成立していても消せるマスが存在しないことは珍しくありません。手順5で空振りしても形の見つけ方が間違っているわけではないので、軸を変えて淡々と試していくのが早道です。候補2個のマスが盤面に5〜6個ある局面が狙い目になります。
つまずきやすいポイント
- 3マスすべての候補が「ちょうど2個」である必要があります。3個あるマスを混ぜると、場合分けの結論が出なくなります。
- 消せるのは共通の数字zだけです。軸の候補xやyを消してはいけません。
- 消す先は、2つの翼の両方を同時に見ているマスです。片方しか見ていないマスからは消せません。
- 軸と翼のつながりは、行・列・ブロックのどれでも構いません。3マスが一直線に並ぶ形もありますが、その場合は候補の組み合わせだけで説明できる別の手筋になっていることが多いので、まずは今回のような直線にならない形で慣れるのがおすすめです。
次に覚えたい手筋
XYウィングまで来たら、候補の分布を面で捉える手筋も視野に入ります。Xウィングを3行3列に広げたソードフィッシュが次の段です。逆に手前を固めたい場合はポインティングペアとボックスラインを先に確実にしておくと、XYウィングを探す前に解ける盤面が増えます。全体の順番は中級で覚える手筋のまとめにまとめています。
脳タイムのナンプレで実践する
XYウィングは候補メモがないと形を見つけられない手筋です。脳タイムのナンプレは候補をメモとして残せるので、候補が2個になったマスに目印をつけながら進めると探しやすくなります。9×9の歯ごたえのあるレベルで、手が止まったときに候補2個のマスを数えてみてください。



